夢の中まで

好きだから崇めるスタイル

ジャニーさんの性加害、オタクはどう捉えるべき?〜犯罪被害者支援をしてる稀有なオタクからあなたへ〜

ここ最近たっくさん報道されているジャニーさんの性加害の問題。いろんなとこでいろんな人がいろんなことを好き勝手言っていて、いろんな方向からストレスが溜まってます。わたしがオタクって知ってる人はさ、「ジャニーズ大丈夫?」なんて半笑いで聞いてくる人もいますが、知るわけねえだろ、わたしがジャニーズ事務所の幹部なわけあるか?幹部だったら自分の推しのアクスタだけ2万種類作らせるわ。

わたしはもう長いことジャニオタをやっている身ですが、実は犯罪被害者を支援する仕事に少し携わっています。犯罪被害者支援を仕事としているオタクなんてあんまりいないんだろうなと思って、でも身バレしたらマジ社会的に死ぬから、節度を持って書きますね。

いろんなネットニュースやワイドショーがあるけど、オタク目線の記事ってたぶんあんまりないし、仕事柄もあるけど、いろんなオタク、まあオタクに限らずみんなにこの問題について少し考えて欲しくて。これはこの性加害の話だけじゃ無くて、もしかしたらあなたが被害者になるかもしれない話だし、あなたの友達家族が被害者、または加害者になるかもしれないから、「ジャニーさんが性加害をしてたかどうか」っていうところだけじゃなくて、日本やあなたを取り巻く社会の話としてちょっと読んでほしい。

 

ジャニーさんが少年たちに性加害をしていたという問題が報じられてから、どうしても世間は「その事実があったかどうか、誰が被害者なのか」というところにめちゃくちゃフォーカスしている。でもさ?!?!?!それよりも大事なことない?!?!というかいろいろヤバいところない?!?!というのが、わたしが言いたいことです。

 

まず、この件で一番わたしが言いたいことは、みんな性暴力被害者と関係者への配慮が壊滅的に無いこと。

犯罪被害者支援の言葉で「二次被害」というものがあります。二次被害とは、実際に受けた被害のあと、周囲の人から浴びせられる心無い言葉や質問のこと。これらの言葉は被害者の心に大きな傷を残します。性犯罪に限ると「セカンドレイプ」とも言われるように、レイプ被害に遭ったのと同等の、それ以上の傷となることもあると言われてます。支援者の方はこの二次被害を生じさせないために、一生懸命勉強をして、いろんなところに気を配って、被害者の支援をします。

 

「あなたが無防備に部屋に行ったから、性被害を受けても仕方なかったんじゃない?」「なんで逃げなかったの?」「あなたの被害は嘘なんじゃない?」

これらは絶対に被害者に言ってはいけない言葉たちです。でも日本のメディアってこういうことを平気で言ってのけるよね、、、ツイッターを見ると、こういうツイートにたくさんのいいねがつくし、、、その感性、マジでヤバいことに気づいた方が良い。

オタクの立場からすると、推しが所属する事務所にこんな大スキャンダルが起きて、推しを支える事務所という存在が危うくなって、不安で信じたくない気持ちも、正直分かる。でも被害者を責めたり疑う発言をするのは絶対に許されない。被害を受けた人は100%悪くない。性暴力を受けた人に「落ち度」なんてものはひとつもない。

性加害をする人は、言い訳をします。「向こうが誘ってきたから」「相手が逃げなかったから」これは、二次被害を引き起こす言葉と限りなく似ています。ということは、二次被害を引き起こす言葉は、「加害者」の言葉と言っても過言ではないわけで。もし、こういう言葉をあなたが使っているとしたら、自分の中に「加害者」がいる可能性を自覚しなければならないと、私は思うよ。

www.ovsc.jp

 

次に、性暴力を受けたかどうかを告白させようとするそのムーブもマジでヤバいということ。

ワイドショーに出たタレントに対して「被害受けたか言わなかった!なんでだ!」みたいなムーブ、激烈にヤバい。

性被害について告白することは、必ず被害者自身に委ねられないといけません。言いたくなかったら言わなくていい。「あの人は被害者なのか?」と詮索することもしてはいけません。性に関する自己決定権は本人にしか無いから、性被害を受けたなんてプライバシーの最高機密みたいなこと、人に言わされてはいけません。

だから、あなたの推しが性暴力を受けていたかなんて気にすることはない。詮索する必要はない。むしろ、それを気にする方が圧倒的に被害者への軽蔑になる。性暴力を受けた人は、自分の体を侵食されるとてつもないトラウマ体験をして、それが周りの人にいつバレるかドキドキしながら日常生活を送らなければならない過酷な状況にいます。そんな人に「あなたってレイプされたの?」と聞くことがどんなに酷いことか想像してみてほしい。そんな思い、推しにしてほしくないよね。

わたしはジャニーズが、ジャニーさんがくれたエンターテイメントが大好きだけれど、性加害を肯定するつもりは心の底からありません。素晴らしいエンターテイメントを生み出したことは、性暴力を肯定する理由にはならない。どんな理由があっても、性暴力をしてはならないことは明らかなはずなんだけど、割と日本人はその意識が欠落しているんだな~~と、この件を見ていて本当に辟易しました。

もしかしたらあなたも、満員電車でお尻を触られて、「この電車は痴漢が多いし、このくらいしょうがない」と思ったことがあるかもしれない。痴漢にあった友達に「そんな短いスカート履いてるからだよ」と言ったことがあったかもしれない。が、マジでそんなことはない。性暴力は性暴力をするヤツが100%悪い。性暴力は人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害です!!!!(オタクしてて人権について語ると思わなかった)

これは今回の件だけじゃなくて、日本の社会というかもう全世界でいえること。だから推しの人権も、勇気を持って被害を告白してくれた人の人権も、あなたの人権も、みんなで守っていこうな。

 

そんな日本社会も、ついこの間、性暴力に関する刑法が改正されたヨ~~!!!今までは、性暴力を受けた時には、「強制性交等罪」または「強制わいせつ罪」という罪名で、暴行か脅迫を用いて抵抗できない状態であったことを証明しなければ罪として認められなくて、「著しく抵抗できなかったとはいえない」みたいなバカみたいな判決(口悪い)で無罪になった事案とかもあったんだけど、今期の国会で成立した改正刑法では「不同意性交罪」または「不同意わいせつ罪」と罪名が変わって、暴行脅迫がなくても、お酒などで抵抗が不可能だったり、社会的な地位の高さを利用したりすることも犯罪として認められるようになりました!!これは今まで性暴力の被害者となってしまった人や、それを支えたい人たちが必死に訴えて勝ち取った大きな一歩だと、わたしは思います。ちなみに、この刑法改正にあたっては、ジャニーさんから性暴力を受けたと告白した方も、法律を決める国会の委員会に呼ばれて発言するなどしてくれました。日本の法律は、あなたの体を守るために、ちょっとだけ良くなりました。リリース(法律の施行ね)は今年の7月くらいの予定だって!

他にも、盗撮を取り締まる法律ができたり(実は今まで盗撮は法律じゃなくて、都道府県が作る「条例」で取り締まってたんだよ)、子どもをエロい目で狙う大人から守ったりする法律ができたり、なんかめっちゃ良くなったと思う!!!!これをきっかけに、日本社会の性暴力に対する意識が変わるといいなと思います。これを読んでくれてるあなたの意識もね!

 

ここからは補足のおはなしですが、もし、あなたやあなたの周りの人が性暴力の被害に遭ってしまったら、助けてくれる人がたくさんいるので、ぜひ頼ってください。

 

www.gender.go.jp


都道府県にある性暴力のワンストップセンターは、検査や避妊用ピルを処方してくれる病院を紹介してくれたり、警察に一緒に行ってくれたり、弁護士さんを紹介してくれたりってことを一緒にやってくれたりします。国がやってるので利用は無料!!!様々な支援を受けるのにもたくさんの援助制度があります。せっかく税金いっぱい払ってるから、困った時は頼ろうね!

他にも、行政や民間、いろんなところで性暴力の被害者の支援をやっています。もしもの時、支えてくれる人がたくさんいることを少し覚えておいてもらえると、そういう仕事をしているわたしからするとすごくすごく嬉しいです。

 

まさかオタクをやっててこんな真面目モードな話をすると思わなくて過去記事とか過去ツイとか見られたら割と死ぬけど、推しの人権もあなたの人権も、みんなで尊重していこうな~~~!!!