夢の中まで

好きだから崇めるスタイル

犯罪被害者支援をしている稀有なオタクからあなたへ〜ジャニーズ事務所性加害問題、現状どんな感じ?編〜

 

オタクたち~~~~!!!!みんな元気~~~????(泣)(泣)この1週間くらい、強く生きてる~~~~??(泣)(泣)

ここ1週間くらい、テレビもツイッターも身の回りも、全部ジャニーさんの性加害の話になっていて、ただただ応援したいのにそれができない苦しさ、好きなものを胸張って好きと言えない苦しさ、推しの仕事が無くなっていく悲しさ、なんでこんな目に!という怒り、でも推しはもっと辛いんだろうなという悲しみ、「ジャニーズ大丈夫そ?」とか言ってくる身の回りの人に対する怒り、これからへの不安、世の中への不満、、、いろんな感情の中で生きて、ほんと偉いよ。誰も褒めないだろうからあたしがあなたのこと褒める。強く生きて偉い。これからも一緒に生きようね。

センセーショナルな記事や見出しがツイッター上に飛び交って、見たくないんだけど見ずにはいられなくて、自分の中の正義や好きという素直な気持ちさえ揺らいで、「こんな気持ちになるためにオタクやってんじゃないんだよな~~!」と思いながらもなんとか仕事して、正直疲れ果てている、いちオタクです。

 

疲れたけど、やっぱり自分の大切なものに起こっているこの問題をちゃんと捉えたいなと思ってるので、わたしは自分の思考と現実を整理するために、このブログに書きます。あくまで「わたし」がいま起きていることを噛み砕いて理解するための文章なので、ご了承を。

 

前のブログにも書いたんですが、わたしは仕事として犯罪被害者の方の支援に少し携わっています。だから一般の人よりは少しだけ、被害者の方の支援についてや、法律のことを知っています。そんな目線から、今考えることを少し文字にしたいと思います。

これを書いている今日は、9月13日、ジャニーズ事務所は被害補償の詳細などを発表したところです。

www.johnny-associates.co.jp

 

まず、現状を把握してみる。

今回は一旦単純化して、3つの立場のみ話します。

 

まず、以下の動きから。

ジャニーズ事務所と▲スポンサー

●会見で「これから事務所をこういう風にします。補償はこうする予定です。」

▲会見を受けて「提案を受けて、それでは足りないと思うので、取引を停止します。」とタレントをCMから下ろす

●改めてスポンサーの動きや世論を受けて対応発表「被害の補償、事務所の改革、そして事務所にお金が行かないように報酬カット」

 

いろんな人がいろんなことを言うから頭こんがらがってたけど、純化したらどちらもビジネスとしては当たり前の動きをしていると思った。

 

例えば

A社「うちの商品1000円で売ります!B社さんどうですか!」と提案を持ちかける

B社「おたくの商品1000円じゃ高いな」と反応

A社「じゃ改善しておまけつけますから!」

 

という取引をしているのと同じ流れだから、なんら不思議はない。今回の場合、ジャニーズ事務所の取引先がNOという手段が、ジャニーズ事務所の商品を使わない=CMを停止するということになるし、取引先はCMキャラクターに起用するという取引しかしていないわけで、スポンサーにとってジャニーズ事務所にNOという手段がそれしか無いとも言える。

 

取引の流れとしてはなんら不思議ではないとして、その「取引を停止する」という理由が本人にないところが、オタクとしては非常にモヤるところ。

 

これは本当に社会の仕組みとしか言いようがなくて、企業にとって最も気を使わなければいけないのって「起用したアイドルのファンたち」ではなくて、「株主」になってしまうところにある。株の仕組みなんて知ったこっちゃないけど、株は信用が命なので、少しでも信用が落ちる=会社の価値が落ちるリスクがあることに手を出したくないのは当たり前である。それを「人権への配慮」ということで、各企業声明を出している。

 

ただ救いなのが、大抵の企業が「被害者への補償や適切な対応が確認できるまで」取引を停止するとしているところ。ということは、ジャニーズ事務所側からの提案が取引先を納得させられるものであれば、取引が再開される可能性があるということ。企業側だって莫大なお金を払って契約して、そのおかげで売り上げが爆増したことだって痛いほど分かってるはずで、それを無下にするほどの大問題が明るみに出たのに、それでもまだ取引再開の可能性を残してくれているところにタレントたちへの信用や、微力ながら商品を買ったわたしたちの行動が確実に表れている。わたしたちは「被害者への補償や適切な対応」ができないから、ジャニーズ事務所が取引先を納得させられるような対応をしてくれることを祈るしかない。おい!!!任せたぞ!!!

それにきっと、各企業の法務部、広報部、IR担当、コンプライアンス担当などはこの数日社内を駆けずり回ったはず、、、みなさんお疲れ様です、、、ちゃんと休んでね、、、

 

ジャニーズ事務所と■被害者

ジャニーズ事務所へ、被害の認定、謝罪と補償を求める

●会見で被害の認定、謝罪、全面的な補償を約束

■会見で認められたことは大きな一歩だったが、補償の内容をもう少し明らかにすべき

●補償の詳細を公表

 

会見の時点で、ジャニーズ事務所は被害者の要求は全て受け入れることを表明しているし、被害者もその点を評価しているので、この会見でまずは前進したと言って良いと思います。補償の詳細を公表し、第三者の弁護士が対応することも発表されたので、ここからは被害者個人たちがどういう補償を要求していくか、という話になっていくと思います。ここで重要なのが、被害者の補償内容に第三者が口を出さないこと。被害回復は本人だけしか、なんなら本人だって何をもって被害回復かなんて分かりません。それは第三者や世論が動かしていいものではないと思っているので、そこは絶対口出さないように!!!

 

よくある質問のコ〜ナ〜〜〜!!!

ここではツイッターでよく見かける質問に対する答えを、わたし個人のみの考えに基づいて話します。重ねていうけど「オタクが」とかではなく「わたしが」です。主語全部書いてないけど、「わたしが」だからね!!メディアリテラシー、そこんとこよろしくな!!!!

 

ジュリーが退かなければ意味ないのでは?

→会見の時点で、ジュリーさんは被害者救済のみ行い、それが済んだら退くと言っている。被害者救済が始まっていない現状では、一概に判断できないと思います。第三者委員会が指摘していたのは同族経営がダメということで、東山さんが社長になった時点でその指摘は克服しているといえるし、権力のある被害者救済の担当者が今いなくなるのは、被害者側にもメリットが無いんじゃないか。今後、ちゃんと被害者救済を行って、退任するかどうかはちゃんと見ておく必要があるけれど。

 

ジャニーズの名前を変えるべきでは?

→被害者の人がジャニーズの名前を聞いて心的ストレスを受けている、と訴えている以上、全く対応しないというのは無理だと思う。ただし、そこにもきっと交渉の余地はあって、被害者の人は何を望んでるのかをまずは把握しないといけない。

(例えば、「ジャニー」という名前を全部世の中から消してほしければいくつかのグループ名を変える必要があるけど、「ジャニーズ事務所」だけ変えて欲しいかもしれないし、じゃあどんな名前ならいいのか、とかも聞く必要があると思う)。会見で回答した、被害回復の一環として対話する中で、様々な被害者の意見が出ると思うから、それを踏まえて判断する、というのは、わたしの意見からしたら正しい回答だったなと思う。

 

スポンサーは、タレントは悪くないのにおろすのはおかしい!

→取引先が事務所である以上、NOという手段は商品であるタレントを下ろすということしかできない。下ろす理由が本人にない、というところが腑に落ちないところではあるけど、例えば自分の会社の上司が仕事で大きなミスをしてしまったとき、きっと関係ないあなたが取引先に謝ったり、会社がお金で補償したりすると思うんだけど、それと一緒なんじゃないかな~。スポンサーはあくまで会社同士で取引してることを考えると、責めるべきはスポンサーではないよね。

 

被害者の人はお金要求しすぎじゃない?

→被害者支援をしている身として本当に強く言いたいんだけど、被害の程度や、被害者が何をもって被害回復とするかは本当に人それぞれ。それは家族でも弁護士でも検察官でも裁判官でもわからない。本人にしかわからないし、本人でもわからない。たしかに「相場」というものは存在するけど、じゃあその相場で被害者が被害回復をしたかと言われるとそうではない時もある。これは本当に本人と話をしてお互い納得したうえで行うものなので、少なくとも第三者が口を出していい話ではありません。黙っとこ。

 

被害者が司法の場に出てこないのはおかしいのでは?

→民事の話からすると、どんな事件でもいきなり裁判所に持ち込むことは少ない。まずは交渉から始めるのが一般的。今回も交渉が決裂したらしたら民事訴訟となって、裁判所の判断を仰ぐことになるんじゃないかなあ。そもそも交渉もしてない時点だと、裁判所が受け付けてくれない可能性も高いよ。

刑事の話からすると、被害者は刑事告訴を行うつもりらしいのだけれど、被害を受けた時期や種類を考えるとおそらく刑事事件として立証するのはとてつもなく難しいと思う。というか無理だと思う(これは日本の性犯罪を取り締まる法律がザルだったとこに原因がある)。しかも、捜査して立証できたところで加害者が亡くなっているので、「被疑者死亡」で不起訴になる。不起訴になれば裁判で審理されることはない。なので、刑事事件に持ち込めば真実が分かる、というのは明らかな間違いだと思う。

余談だけど、性被害の難しいところって本当にここにあって、被害を受けてから申告するまでにものすごく時間がかかる。そういう特性を鑑みたうえで、最近は性犯罪に関する法律が改正されたので、みんながちゃんと刑事司法に守られる世界になって欲しいと思う。

 

被害にあったって、嘘なんじゃない?

→それだけは絶対に言うな、それを言った瞬間、あなたも加害者になるぞ!!!!!

 

今の現状を改めて見直してみたけど、残念ながらわたしたちにできることは何もなさそう。オタクってこういうとき、本当に無力。でも推しを支えたいという純粋な気持ちだけは大切にしてね。でもそれを誰かを攻撃する刃に変えてはならないことだけは、どうか忘れないで。さっ、YouTube回してCD買ってインスタにいいねするぞ〜〜〜〜!!!!