夢の中まで

好きだから崇めるスタイル

鞘師里保の卒業から、アイドルの「卒業」をもう一度ちゃんと考える



もう1週間ほど前の出来事になってしまうんですけど、やっと実感が湧いてきたのでこのお話をしたいと思います。

モーニング娘。'15のセンターであり、エースであった鞘師里保さんが、卒業を発表しました。ほんとにびっくりして、信じられなくて、今もまだ半信半疑なんですけど、信じたくない自分もいます。

いろいろ考えて、彼女が出した決断なんですけど、どうしても「なんで?」って気持ちが出てきてしまいます。まだまだ先はあるのに。見てない景色があるはずなのに。アイドル鞘師里保はここからが面白いのに。

まあそんなこと言ったってそれはヲタク側のエゴでしかなくて、ヲタクはただ、突きつけられた現実を受け入れることしかできない。理不尽なんだけど、しょうがない。それがアイドルだから。

卒業って、ほんとにすごいことなんですよ。アイドルの卒業っていうのは、ただその子がグループを抜けるってことじゃなくて、自分が応援してきたアイドルとしての彼女をもう二度と見れなくなるということなんです。ずっと応援してきたのは、アイドルである彼女であり、そのグループにいる彼女なんです。卒業というのは、「アイドルである彼女がこの世からいなくなること」です。鞘師里保は生き続けるけれど、モーニング娘。鞘師里保はもうこの世からいなくなります。ファンは誰も、一般人である鞘師里保にも、普通の女子高生である鞘師里保にも惹かれてないんです。アイドルである鞘師里保を好きになって、応援してきたのに、突如としてそれがもう強制的に終了させられることになる。それが「卒業」です。どんなに好きでも、愛していても、お金を払っていても、「悩んで決めたこと」の一言で、全てが終わるのです。これからどんな風に彼女は成長してくれるのか、どんなステージに連れて行ってくれるのか、そんな風に想像していたことはもう、叶うことはありません。アイドルとしての彼女が見れなくなるとは、そういうことです。

決して応援してないわけじゃない。アイドルにだって幸せを追う権利はあるし、ファンのために一生捧げる必要なんてありません。アイドルが幸せになってくれれば…そう思う、思おうとしています。でも、やっぱりまだ見ていたい。アイドルとしての彼女を。これからいっぱい楽しみなことがあるのに。もしかしたらもっともっと綺麗なお姉さんになって、歌もダンスもとんでもない次元まで達して、そしてもしかしたらもっと大きな会場でライブをやって、もしかしたら紅白に出て。そんな風に描いてた未来。彼女だってそう思ってると、心のどこかで思っていました。でもそれは、ファンの自分勝手な考えなんですよね。自分の思うように、アイドルに生きて欲しいっていうのは。アイドルである間は、ファンの人の思うように生きてくれてるから、勘違いしちゃうんですけど、私たちが彼女たちの人生に干渉するのは絶対違うんですよ。あくまで私たちに見せてくれてるのはアイドルである彼女だけだから。他の表面があって当たり前なのに、私たちはそれを認めることがなかなかできない。それが彼女たちを苦しめていることも知らずに。

今回、「ああそうだ、アイドルに永遠なんてないんだ」ということを改めて痛感させられました。好きな子がいなくなる絶望を、また思い出させられました。その儚さがまた、惹きつけられる一因でもあるんですけどね。アイドルの卒業、脱退はある日突然やってきます。それまでに悔いがないよう、精一杯応援することしかたぶん私たちにはできないのでしょう。いつ何時、失うか分からないから、この今の眩しさを大切にしよう。輝きを胸に刻んでおこう。

あと2ヶ月間という、急に決められてしまった期限。私も精一杯鞘師里保という「アイドル」の輝きを胸に刻んでおきたいと思います。